局面は事後に確定する
蓄積期、上昇期、過熱期、下落期といった区分は、図を後ろから見れば鮮明です。問題は、いまがどこなのかはその瞬間には分からないという点です。上昇の途中で一息ついているのと、天井を過ぎたのとは、過ぎてはじめて区別されます。局面の区分は過ぎたことを整理するには役立ちますが、現在を判定するには思ったより弱いものです。
いまがどの局面かを語るサイクルの説明に、どこまで根拠があるのかを見ます。局面は事後に確定すること、半減期の話の構造、外部要因をまとめました。
蓄積期、上昇期、過熱期、下落期といった区分は、図を後ろから見れば鮮明です。問題は、いまがどこなのかはその瞬間には分からないという点です。上昇の途中で一息ついているのと、天井を過ぎたのとは、過ぎてはじめて区別されます。局面の区分は過ぎたことを整理するには役立ちますが、現在を判定するには思ったより弱いものです。
一部の暗号資産は、新しく発行される量が決まった周期ごとに半分になるよう設計されています。供給が減れば価格が上がるという説明はここから来ます。ただしこの予定は最初から公開されており誰もが知る情報で、知られた情報はすでに価格に映っていると見るのが一般的な見方です。また過去の事例が3回しかなく、統計と呼ぶのは難しいものです。
暗号資産は互いに別の取り組みであるのに、価格はおおむね同じ方向に動きます。特に市場が急落するときに相関はさらに高くなります。そのため複数の銘柄に分けて持つことでは、分散の効果が期待ほど大きくなりません。本当の分散は性質の違う資産の間で生まれます。
資金が一つの資産から別の資産へ移っていくという説明がよく使われます。実際にそう見える区間はありますが、これらの名前はすでに起きた動きに付けられたものであって、決まった順序があるわけではありません。順序があると前提して次を待てば、その順序が今回は成り立たないときに対応が遅れます。
過ぎた図を説明する話は、いつでも作れます。大事なのは、その話がこれからについて反証できることを言っているかどうかです。「調整のあと上昇する」のようにどちらに転んでも当たる言い方には情報がありません。この主題の文章は仕組みと用語を説明するだけで、いまがどの局面かは扱いません。
過去のチャートで局面が鮮明に見えるのには理由があります。私たちはすでに結果を知ってチャートを見ているので、天井と底がどこだったかを基準に区間を分けます。その時点にいた人たちは同じチャートの右端だけを見ていて、その端が天井なのか途中なのか分かりませんでした。また私たちが覚えている循環の話は、うまく当てはまった例が中心に伝わり、外れた予測はあまり残りません。こうした生存者の偏りのために、循環の説明は実際より信頼できるように感じられます。局面の区分を見る時に「当時これをリアルタイムで判断できただろうか」と問えば、釣り合いが取れます。
暗号資産市場の大きな流れは、暗号資産の内部の話だけでは説明できません。金利や流動性のような経済全体の環境、各国の規制の発表、大手の取引所やプロジェクトの破綻のような出来事、機関の資金が入ってくる経路の変化が一緒に影響します。半減期が同じ間隔で巡ってきても、その時期の金利の水準や規制の環境は毎回違いました。だから過去の循環の長さや上昇幅をそのまま次に当てはめるのは、違う条件を同じものと仮定することになります。相場の局面を説明する話を聞く時は、その説明がこうした外部の要因をどう扱っているかも一緒に見るのがよいでしょう。
このテーマにつながる循環・傾向の道具は、長期の価格データをさまざまな方法でまとめ、いまが過去のどの区間に似ているかを示します。こうした比較はいまを広い文脈で見るのに役立ちますが、似て見えることが同じ結果につながるという意味ではありません。道具を使う時は、どんなデータを何年分使ったか、比較の対象になった過去の例が何回あるかをまず確かめてください。例が数回しかなければ、その結果は統計というより逸話に近いものです。そして、どんな局面の判断も、自分が耐えられる損失の大きさを変えはしないことを覚えておく必要があります。この記事も道具も投資助言ではありません。
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